A young man in glasses writes in a notebook while sitting on a stylish couch indoors.

「それ、脱税ですよ」といわれた話

こんにちは。本日は、私が若かりし頃、お世話になった税理士の先生との話をここに書き留めたいと思います。

というのも、私たち社会保険労務士は助成金の申請代行を業として行える唯一の士業でして、相談に来られる方々の中にはいわゆる「要件」を満たしていなくても「先生、なんとかなりませんか」というようなことをおっしゃる方がおられるのです。

でも、その気持ち、わからんでもないよ、という話なんです。

私が会社の経営に初めて触れたのは21歳の時、ある時知り合った方が「会社をもう設立してるからやれへん?」と。なんやかんやで株式会社を設立したのだけどほったらかしにしているというのです。私は通信制大学生だったので、通学の必要はなく自分で時間を決めて好きな時に授業を受けて、単位を取るようなライフスタイルだったことや、就職する気はなかったので、その話に食いつきました。笑

そして、相談したのは、学生時代ずっとアルバイトをさせてもらっていた会社の社長。すると「税理士紹介したるわ!」と。なんとも大阪らしい。

そこで税理士の先生を紹介してもらい、挨拶に行き、契約をしました。そこで私は単純な疑問で質問したんです。

「会社の税金ってどのくらい払わないといけないんですか?」と。我ながら、事業を始めてもない21歳が先に税金のことを考えるなんて、すごいなあ。。(そう思ったのもつかの間…)

そして税金の仕組みを教えてもらいました。そして私は単純にまた質問しました。「じゃあこの売上をなかったことにして、残りの分にだけ税率をかけたら税金が安くなるってことですよね!!!」と。笑 これは本当にお恥ずかしい話なんですが、先生は私の質問に対して「それを脱税っていうんですよ」とキッパリ。笑

脱税の知識すらなかったもので、さらに私は「でもわからなくないですか?」って。不正に対しての意識があまりにもなさ過ぎて、このような発言がナチュラルに出てきたのです。笑 しかし、先生は、「申告されなかったらこちらもわからないですよ。」「でもうちは脱税するような会社の顧問にはなりません!!!」と強くおっしゃられたのです。

私はその姿を今も鮮明に覚えていて、あー、でもここで契約しなかったら先生の売上が上がらないのに、しっかり信念をもってやってはるんだなあ。。と感銘を受けました。(当たり前といえばあたり前なのですが、押しに弱い方も中にはおられるので。。。)

というような感じで、おそらく助成金申請に関しても、社長の不正に対する意識はかなり低いです。特に小さい”社長だけの会社”は。

社長だけというのは、従業員がゼロという意味ではなく、社長の発言ですべてが決定し、いいことも悪いこともそのまま進んでいく会社のことです。

私もそれを実体験として感じているので、社長へのコンサルティングが非常に重要であると認識しました。

特に悪意があるわけではなく、単純に、「じゃあこの社員を契約社員やったことにして、正社員に切り替えるわ。ほんならキャリアアップ助成金いけるやろ?」と。こういう発言もナチュラルに出てくる社長さんもいるかもしれません。私が税理士の先生と話したように、言われなければこちらはわかりません。その従業員さんがもともと正社員として採用されていたのに、いったん有期雇用だったことにして申告されても知りようがありません。

ただし、当コンサルティングでは、私がお世話になった税理士先生のように、「不正は一切受け付けません」し、「不正をしなくても適正に必要な制度を利用できる仕組みづくり」を前もってご支援します。そのためには、早い段階から制度を理解することが大切ですし、戦略的に動かなければいけません。社長の伴走者として、寄り添い、未来を見据えたご支援ができれば幸いです。

戸田労務経営コンサルティング 代表 特定社会保険労務士 戸田 涼子

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