事業主の万一の通勤・業務中のケガに備えていますか?

事業主も守られる労災保険「中小事業主の特別加入」とその活用法

実際にあった事例:通勤途中の事故で収入がゼロに

ある個人事業主の方は、従業員2名とともに現場作業を行っていました。

ある朝、通勤途中に会談で足を滑らせ足を骨折。
・入院・自宅療養で約3か月仕事ができない
・現場にも出られない
・売上はほぼゼロ
という状態になりました。

もし労働者と同じように労災保険に加入できていれば、、、
治療費は自己負担 休業中の収入補償なし
となり、生活費や事業継続に大きな支障が出ていた可能性があります。

事業主でも加入できる労災保険とは?―「特別加入制度」の基本

労災保険(労働者災害補償保険)は、原則として「労働者」を守る制度ですが、 一定の条件を満たす中小事業主や役員の方も「特別加入制度」を利用することで補償対象になります。

中小事業主の特別加入の主な要件
・常時労働者を使用していること(年間100日以上)
・その事業主が労働者と同じ業務に従事していること
・保険事務組合にしたくしていること 等

建設業、運送業、製造業、IT業、飲食業など、多くの業種で利用されています。

常時労働者を雇用する事業主でなくても、業務委託契約で働くフリーランスの方々は、2024年11月から業種を問わず、従業員を雇用していなくても労災保険に特別加入することが可能になりました。

労災保険の特別加入をしていれば、
・業務中のケガ
・通勤途中の事故
・それに伴う休業
について、労働者と同様に労災保険の給付を受けることが可能になります。
「自分は経営者だから対象外」と思われがちですが、実際には多くの事業主の方が加入しています。

まず知っておきたい「労災保険の役割」

そもそも労災保険がどんなときに、何を補償してくれる制度なのかを簡単に整理しておきましょう。

労災保険は、次のような場合に労働者の生活を守るための公的保険です。

仕事中のケガ・事故(業務災害)
通勤途中の事故(通勤災害)
仕事が原因の病気(腰痛・うつ病・過労など)
中小事業主の特別加入をしていれば、事業主ご本人も同じ補償の対象になります。

補償される主な内容
労災保険では、主に次のような補償があります。
治療費:病院代・薬代・手術代など(原則自己負担なし)
休業補償:ケガや病気で働けない間の生活費
障害補償:後遺障害が残った場合の給付
遺族補償:万一死亡した場合の遺族への給付
介護補償:重い後遺障害が残った場合
つまり労災保険は、
「治療費 + 働けない間の収入 + 将来への備え」
をまとめて補償してくれる制度です。

万が一の時にいくらくらい給付されるのか?

このコラムを読み進めてくださっている皆様は、実際に自分が働けなくなった時にいくらもらえるのか、気になっておられるのではないでしょうか。

もし、業務上や通勤途中にけがや病気等で働けなくなってしまった場合、(以下これを労災と言います)
まずは、病院の治療費は無料で労災保険で賄うことが可能です。

休業した場合の収入の補填はどうなるか?
労災で仕事を休んだ場合、4日目以降から次の金額が支給されます。
休業補償給付:給付基礎日額の60%
特別支給金:給付基礎日額の20%

合計で、
給付基礎日額 × 80%が1日あたり支給されます。

給付基礎日額とは、労働者の場合実際の賃金から計算しますが、事業主の特別加入の場合は、
「1日あたり、いくらの収入があることにするか」をあらかじめ金額を決めることができます。

選べる金額の範囲
特別加入では、国が定めた次の範囲内から選びます。
3,500円 ~ 25,000円(複数の等級あり)
「実際の売上や所得と完全に一致していなければならない」というわけではなく、
将来のリスクに備えて、現実的な金額を設定するという考え方で問題ありません。

具体例で見ると…
給付基礎日額:10,000円の場合
60% → 6,000円
20% → 2,000円
合計:8,000円/日
30日休業した場合:
8,000円 × 30日 = 240,000円

高くすれば安心、でも保険料も上がります
給付基礎日額を高くすると…
もらえる給付金 → 多くなる
支払う保険料 → 高くなる

低くすると…
保険料 → 安くなる
休業中の補償 → 最低限になる。という関係があります。
そのため、「最低限これくらいあれば生活できる」
というラインを基準に決めるのが、失敗しにくいポイントです。

中小事業主の労災特別加入の具体的な要件

中小事業主の特別加入は、原則として労働者を1人以上雇用していることが条件です。

年間100日以上雇用していることで、常時雇用していることとみなされます。
現在一人で個人事業主として働いている、という方は現状特別加入はできませんが、年間100日ということは1か月あたり8日~9日です。1日あたりの労働時間の指定は特にありませんので、

最低限の雇用を生みつつ、
・労働者の労災保険加入
・中小事業主の特別加入
を行うことで、「自分のケガ・病気による収入ゼロリスク」に備えることができます。

事業主こそ「自分の身は自分で守る」制度設計を

事業主が倒れると、
・収入が止まる
・事業も止まる
・家族の生活にも影響
という大きなリスクがあります。中小事業主の特別加入制度は、低コストで 実用性が高く いざという時に本当に役立つ数少ない公的保険制度の一つです。

特別加入の手続き・最適な設計は社労士にご相談ください

・自分は対象になる?
・給付基礎日額はいくらが適切?
・従業員を雇う場合の注意点は?
こうした点は、事業内容や将来設計によって最適解が異なります。

「自分の身を守る備えができているか不安」 「加入した方がいいか判断したい」
という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
早めの備えが、事業と生活を守る最大のリスク対策になります。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

お気軽にお問い合わせくださいね。

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